CKD(慢性腎臓病)の保存期や透析を経て、腎移植された患者さんはようやく厳しい食事制限や治療から解放されほっとされるでしょう。けれども、本当に好きなように食べてもいいのでしょうか?実際のところを、多くの腎移植患者さんのフォローにあたっておられる大阪大学の高原史郎先生にお話ししていただきました。

 
 
■腎臓移植後の食事管理の必要性
 移植をしてからの食事管理は、透析の時ほどは厳しくはなく、ある程度緩いですがとても重要です。移植した人の6割~7割が、20年以上移植腎がもちます。20年~30年もつ人と、そうでない5年~10年でダメになる人を比べた場合、やはり太った人はあまりもちません。あまり体重が増えると老廃物が増え、24時間、移植した腎臓にプレッシャーがかかります。それを考えると移植腎を長持ちさせる為には、透析ほどは厳しくなくてもある程度の食事管理、運動療法は必要です。

■退院後の食事療法の指導
 退院後は、まず体重管理を指導します。大体移植して3週間で退院しますが、入院している3週間は感染症が怖いのでどんどん食べてもらいます。退院後2週間ぐらい、家での生活に慣れた段階で、少しカロリーをしぼって太らないようにしなければなりません。それが一番大事です。
退院する時に受持ちの看護師さんから、透析の時ほど厳しくないですが指導があります。でもまだ家に帰って生活していないのでピンときません。そのため退院して2週間ぐらい経った段階で、3日間ぐらいどんな食べ物を食べているか書いてきてもらいます。それを管理栄養士さんに見てもらい、カロリーや塩分、タンパク質など1回目の指導をします。

■塩分やたんぱく質の制限
①塩分制限の必要性
目標は移植腎を20年~30年もたすことなので、普通の人に比べると目標が厳しくなります。例えば、血圧は健康な人であれば135ぐらいでもいいですが、移植した人は、移植した腎臓の立場に立つとやはり低い方がいい。だから必ず130以下にするなど。ただ透析の場合とは違うので、健康な人が普通にダイエットしたり、普通に運動するといった程度の制限であり、そんなに厳しいものではありません。
②タンパク質制限の必要性
おしっこを24時間溜めた畜尿中に、微量たんぱくとか微量アルブミンがあります。それが少なければ少ないほど腎臓の負担は少なくなります。そのためタンパク質の制限も必要ですが、そんなに厳しい制限ではありません。

■外食が抱える問題
 人間は社会的な動物なので外食はどうしても何度かします。その時に患者さんがカロリーや塩分をどうやってチェックするか、なかなか難しい。患者さんに指導する時には栄養指導表を見ながら、さんま1匹何カロリー、ご飯1膳何カロリー、等指導します。それぐらいは頭に入っても、おかずを目の前にパッと見た時にどれくらいの塩分やカロリーがあるか、ちょっとピンときません。指導の時にもらった本を、移植して20年間持ち歩く訳にもいかないでしょう。だから私たちの大きな課題は外食の食事指導です。

■そういった課題を解決するために
①今後の外食管理に期待するもの
すべてのレストラン、例えばうどん屋さんにもピザハウスにも全部カロリー表示があればいいですがそれは無理です。だから何らかの方法でアクセスできると良い。今は携帯もスマートフォンもあり、昔で言う「ユビキタス」、つまりいつでもどこでもアクセスできる、そういうツールがあります。あとはそれに対応するソフトウェアがあればかなりカバーできます。
結局は、食事指導はオーダーメイドの指導です。特に厳しい指導とは僕たちは思いませんが、やはり、この人はカロリーに注意、この人はカロリーはうまくいってるが塩分がちょっと多い等あります。そうすると一人一人のオーダーメイドになります。そういう時の外食のコントロール、外食で今食べようとしているものの塩分量が分かりにくいといったことが今後の課題であり、今の電子技術、ICTに今後期待される所です。
②今取り組んでいる新しい試み
過去、私たちが食事指導を20年~30年やって、うまくいった部分とうまくいかなかった部分があります。うまくいかなかった部分は、外食の指導。現在、私もメンバーとして入っていますが、食品のデータベースの構築やスマートフォン等でも使えるアプリケーションの開発に取り組んでいます。これによって患者さんが自分のオーダーメイドのメニュー、どれくらいのカロリー・塩分という情報を持ち歩いて、どこでもアクセスすることができます。特に外食対応ですが、これを次の重要なステップとして私も含めて開発に参加しています。
スマートフォンが普及したのが最近5年~10年です。最初、シニア世代はスマートフォンを敬遠していましたよね。でも今は全く平気です。最初はそのようなアプリケーションに戸惑うかもしれませんが、あっという間に慣れると思います。それだけの実績がいろんな領域、いわゆる経済の領域とかでも色々ありますから、私たちは医学の領域でもどうしても成功させたいと考えています。
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